前立腺癌の専門サイト

前立腺癌とは?

前立腺癌

前立腺は男性だけにある臓器です。大きさや形状はちょうど栗の実ほどで、膀胱の直下に、膀胱から出る尿道を取り囲むように位置しています。

前立腺では精液の一部である前立腺液が分泌されます。また精のうから分泌された精のう液と精巣で作られた精子を混ぜ合わせて精液を作り、射精をスムーズにする働きがあります。さらに尿の排泄のコントロールにも影響を与えています。
以上が現在までに判明している前立腺の主な働きですが、実は前立腺についてはまだ機能や働きのメカニズムが良く解明されていない部分も多いというのが事実です。
前立腺癌はこの前立腺に生じる腫瘍です。前立腺癌の発生率は年齢とともに高くなり50才ぐらいから急増します。40才代で前立腺癌を発症する人も稀にいますがその場合には癌の家族がいる場合がほとんどです。
前立腺癌は日本では癌による死亡者の3.5%程度とあまり多くはないですが、アメリカ人の場合には男性の20%以上の人が前立腺癌で死亡しており、発生率の高さから言えば、黒人男性、白人男性、アジア人男性の順に発生率が高くなっています。またアジア人であってもアメリカなどに移住して生活したり、2世、3世では前立腺癌の発生率が高くなるため、人種による発生率と言うよりは食生活などによる影響が大きいとも考えられています。
また前立腺癌であっても必ずしも寿命に影響がない場合も多く見られます。これはどういうことかと言うと、日本人でも70才以上では2〜3割の男性には前立腺癌が見つかり、必ずしも死亡原因とはなっていないことが多いのです。さらに80才を越えた場合には実に3〜4割の男性で前立腺癌が見つかっています。このように前立腺癌であっても特に寿命には影響しないものを「ラテント癌」と呼び、一般の臨床的治療を必要とする前立腺癌と区別しています。

前立腺癌の症状

多くの癌がそうであるように前立腺癌の場合も早期においてはこれと言った自覚症状はありません。前立腺癌が進行してくると、尿が出にくくなる排尿困難や尿の回数が増える頻尿、排尿の後でも尿が出きっていないような感じがする残尿感、夜寝ている間にひんぱんに排尿のために起きる、いったん尿意を感じ始めたらトイレまで我慢できなくなる、下腹部の何となく不快な感じ、と言った様々な症状が現れますが、やっかいなことにはこれらの症状はすべて前立腺肥大症の場合の症状と酷似しています。そのため前立腺肥大症は疑っても前立腺癌を最初から疑うケースは稀だと言って良いでしょう。また高齢化とともにこうした症状は、多少の差はあっても男性ならだれでも経験するものであるため、単に年齢のためと勝手な解釈をしてしまう場合も多いようです。
前立腺癌が疑われる場合に最も確実に診断するには前立腺特異抗原(PSA)と呼ばれる検査が行われます。これは腫瘍マーカーの1種で血液を採取して行います。PSAによる判定はかなり正確なものです。
またこれ以外にもごく簡単に医師による直腸診と言う方法も取られます。これは医師が手袋をはめ、ゼリーを塗った上で指を患者の肛門から差し入れて直腸の壁を通して触診するもので前立腺の腫れ具合などを確認することができます。直腸診は簡単で時間もほとんどかかりません。また想像するほど不快なものでもありません。
こうした診察や検査で異常が見られた場合には前立腺組織の生検を行います。前立腺癌の生検では6カ所以上の前立腺の部位に針を刺し組織を採取します。

前立腺癌の治療

前立腺癌の治療としては外科療法、ホルモン療法、放射線療法、化学療法などがあります。各患者ごとのステージに応じて治療法が選択されますが、ごく初期のステージの場合を除いてはやはり手術による外科療法が中心となっています。
前立腺癌の手術ではまず、患者の年齢や他の疾病があるかなどによって可能かどうかを見極めます。高齢で手術を行うことによる延命と寿命があまり変わらないと考えられる場合や、心臓病などを併発している場合にはホルモン療法、放射線療法などが選ばれる場合もあります。
前立腺癌の場合、手術による治療の際に化学療法やホルモン療法を併用するのが一般的です。
前立腺癌の手術には大きく分けて「前立腺全摘出術」と「精巣除去術」の2種類があります。前立腺全摘出術は完治を目的として行われる場合が多く、全身麻酔の上で、癌を含む前立腺、精のう、リンパ節をすべて切徐します。その後膀胱と尿道をつなぎます。3〜4時間以上かかる大手術で、4週間程度の入院が必要となります。身体への負担も大きいため余命10年以内の患者の場合には行われない場合があります。
前立腺全摘出術による副作用には、尿漏れ、勃起障害(ED)などがあります。これは手術中に尿道括約筋や他の神経を傷つけることがあるためです。またかなりの出血を伴うため相当量の輸血が必要となり、リンパが炎症を起こすこともあります。縫い合わせた箇所がうまくつながらない縫合不全も稀にあります。この場合には消毒や栄養状態改善で対処します。

前立腺癌と化学療法

前立腺癌はほとんどの場合男性ホルモンに依存する形で発育しています。そのため男性ホルモンの値を下げる、あるいは男性ホルモンをまったく出なくするなどの方法で前立腺癌の進行を大幅に遅らせることが可能です。
男性ホルモンを下げる方法には2種類あります。1つは去勢術と言って精巣(睾丸に含まれる)を辞去する手術で、もう1つは抗男性ホルモン剤を使用する方法です。まず去勢術では手術で睾丸そのものを摘出する方法と、睾丸から男性ホルモンが分泌するのを抑える薬剤を注射する方法がありますが、最近一般的に行われているのは注射による方法です。この注射は4週間ごとに皮下注射で行います。副作用としてホットフラッシュと呼ばれる、顔がほてったり汗を大量にかくなどの症状や勃起不全(ED)になる場合があります。
こうした男性ホルモンのコントロールによる療法はステージが軽い、初期の前立腺癌では非常に良い結果が出ますが、前立腺癌が進行してくると徐々に効かなくなってきます。こうなると後は外科的療法に委ねることになります。
化学療法と並んで放射線療法も、前立腺癌では良く用いられます。放射線治療には身体の外から行う体外照射と内部から行う腔内照射とがありますが、日本で行われているのはほとんどが体外からの照射です。これは体内照射を行う際に様々な制約が伴うことが主な理由となっています。
放射線治療は単独で行われる場合もありますが他の外科的療法や化学療法との併用でさらに大きな効果が期待できます。
放射線治療は1度に大量を照射することはなく数回に分けて副作用を見ながら行います。

前立腺癌のステージ

前立腺癌のステージ分類にもいくつかの種類があります。TNM分類やグリーンソア分類、前立腺癌取扱い規約による分類などがそうですか、ここでは日本泌尿器科学会が使用しているステージ分類法を紹介します。
●ステージA
前立腺癌の告知ではなく良性病変の診断を受けていた人が手術を受けた際に切除された組織に偶然発見された前立腺癌のことを言います。偶発癌とも呼ばれます。
A1:前立腺の中だけにある直径1cm以下の腫瘍で、かつ高分化の癌の場合です。高分化癌とは性質のおとなしい癌のことです。
A2:前立腺内にびまん性の癌、もしくは中程度または低分化の悪性度の高い癌がある場合です。
●ステージB
ステージBでは癌は前立腺内にとどまっています。
B1:前立腺を左右に分けた場合、癌がその片側だけに限局している場合で、1,5cm以下の癌の場合。
B2:前立腺内にあって1.5cmを越える癌、またはびまん性や固まりとして発育する結節性の癌の場合。
●ステージC
前立腺皮膜を越えて広がってはいるが、まだ転移は見られない癌の場合。この場合前立腺と隣接する精のう、膀胱頸部へと広がった癌も含まれます。
●ステージD
明らかな転移が臨床的に見られる場合にはこのステージとなります。前立腺癌の大きさは規定されていません。
D1:規約で定められた骨盤内でのリンパ節転移が認められる場合を言います。
D2:D1以上に広い範囲のリンパ節、肺、骨、肝臓などの遠隔の部位への転移が見られる場合です。

グループサイト